目の前がパーっと開けて、視界が4Kになったみたい
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放送のNHK「あさイチ」で、作家・金原ひとみさん(41)が離婚を明るく語ったその言葉が、大きな反響を呼んでいます。
20歳で芥川賞を受賞し、波乱に富んだ人生を歩んできた彼女が、なぜ今、40代の転機をこれほど前向きに捉えているのでしょうか。
金原ひとみが語る"4Kの視界"とは
40~50代って、やるんだったら今しかないかなっていう時期でもあるのかな
そう語る金原さんの言葉には、これまでとは違う新しい生き方への期待が感じられます。
NHKの番組では、「老いの始まり」というテーマで、彼女の等身大の思いが語られました。
人生の歩みは、下降ではなく前進だと語る金原さん。死ぬ以外のことは、全て成長の一部なんじゃないかな
という言葉には、40代を迎えた多くの人の心に響く深い洞察が込められています。
では、なぜ金原さんはこのような前向きな視点を持つに至ったのでしょうか?
その答えは、彼女のユニークな人生経験にあります。
20代での芥川賞から41歳までの軌跡
、わずか20歳で『蛇にピアス』により芥川賞を受賞した金原さん。
当時の彼女は「なんにでもかみつく感じの人」だったと振り返ります。
実は、金原さんの人生は波乱に満ちています。
12歳で小説を書き始め、不登校を経験。
15歳でリストカットも経験しました。
そんな彼女が20歳で芥川賞を受賞し、一躍文学界の注目を集めることになったのです。
30歳になると、大きな変化が訪れます。他者を頼ったり、受け入れたりすることができるようになってきた
と語る金原さん。
には東日本大震災後の放射能への懸念から、子どもたちを連れて岡山へ、そしてフランスへと移住。
その後に帰国するなど、常に新しい選択を恐れない生き方を続けてきました。
このように、金原さんの人生は常に変化と挑戦の連続でした。
では、40代を迎えた今、彼女はどんな新しい視点を手に入れたのでしょうか?
40代で見えてきた「新しい生き方」とは
どうしても少しずつ生活が定まってしまう
という40代特有の感覚を、金原さんも実感していたといいます。
しかし、それは必ずしもネガティブなものではありませんでした。
むしろ誰でもいいよ、仲良くできるよ
という新しい価値観が芽生え、人との関係がより豊かになっていったと語ります。
これは20代の頃の「かたくなに心を閉ざして」いた自分とは、まったく異なる姿です。
最新作『ナチュラルボーンチキン』では、45歳の女性を主人公に据えています。
これは、40代ならではの視点で描かれた、新しい人生の可能性を探る物語といえるでしょう。
このように、金原さんは40代という時期を、新しい可能性への扉が開く時期として捉えています。
では、なぜ彼女は「老い」という言葉をこれほど前向きに語れるようになったのでしょうか?
なぜ今「老い」を前向きに語るのか
成長なんじゃないかなと思いますね。生まれてから死ぬまで一直線を生きていると思えば
金原さんは、老いを人生の自然な一部として受け入れています。
彼女の視点では、人々が生産性や合理性にとらわれすぎている現代社会において、ただぼんやりと生きて、ただぼんやりと死んでいくのでもいいじゃないか
という、新しい生き方の提案も含まれています。
そして、離婚という人生の転機を経て、より一層クリアな視界を手に入れたと語る金原さん。
それは、人生の新しい章を開く勇気と、自分らしい生き方を選択する自由への気づきだったのかもしれません。