- 道猟友会による駆除要請拒否とは?経緯と背景
- なぜ猟友会は駆除要請拒否を検討?砂川市の裁判から見える問題点
- 増加するヒグマ被害|最新の状況と対策の課題
- これからのヒグマ対策はどうなる?専門家が指摘する解決策
北海道で深刻化するヒグマ出没。
その対策の要となってきた猟友会が、自治体からの駆除要請に「応じない」可能性が出てきました。
なぜ、地域の安全を支えてきた猟友会がこのような決断を迫られているのでしょうか。
裁判所の判決が引き金となり、ヒグマ対策の危機が生まれています。
道猟友会による駆除要請拒否とは?経緯と背景
道猟友会は現在、市町村からのヒグマ駆除の出動要請に原則として応じないよう、道内71の支部に通知する方向で検討を進めています。
この検討の背景には、砂川市で起きた裁判が大きく影響しています。
裁判では、市に依頼されてヒグマを駆除したベテランハンターが、猟銃所持の許可を取り消されるという事態が起きました。
堀江篤会長は「命をかけて対応にあたるハンターがリスクを負うような状況では、これ以上の協力は難しい」と話しています。
ここまでが駆除要請拒否の検討に至った経緯ですが、この問題の本質を理解するために、もう少し詳しく砂川市の事例を見ていく必要がありそうです。
なぜハンターは許可を取り消されることになったのでしょうか?
なぜ猟友会は駆除要請拒否を検討?砂川市の裁判から見える問題点
2018年8月、砂川市で30年以上にわたってヒグマ対策に携わってきたベテランハンターが、市職員と警察官の立ち会いのもと、ヒグマの駆除を行いました。
しかし、この時の発砲について「住宅に向かって撃った」という指摘がなされ、道公安委員会から猟銃所持の許可を取り消されることになりました。
重要なのは、この判断をめぐる裁判の経過です。
一審の札幌地裁では、ハンターの主張が認められ、処分は「著しく妥当性を欠き違法」とされました。
ところが二審の札幌高裁では一転、処分が適法とされたのです。
では、このような状況の中で、実際のヒグマ被害はどうなっているのでしょうか?
増加するヒグマ被害|最新の状況と対策の課題
令和5年、クマの出没件数は過去最多を記録。
人身被害も197件(死亡6人)と、2006年以降で最多のペースとなっています。
特に深刻なのが、人里での出没増加です。
昨年の事例を見ても、湖での釣り人の被害や登山者の死亡事故など、痛ましい事故が相次いでいます。
このように被害が増加する一方で、ハンターの高齢化や報酬額の低さなど、様々な課題も指摘されています。
さらに今回の裁判の影響で、駆除活動への参加をためらうハンターが増える可能性も出てきました。
では、この状況を打開するために、どのような対策が考えられているのでしょうか?
これからのヒグマ対策はどうなる?専門家が指摘する解決策
東京農工大学の梶光一名誉教授は、従来の猟友会依存型の対策が限界を迎えつつあると指摘します。
今後は、市町村や警察と猟友会の対応を統括できる、専門的なトレーニングを受けた人材の配置が必要だと言われています。
また、道猟友会としては、各支部の判断を尊重する方針を示しています。
実際、札幌支部など一部の支部では、地元警察や市との良好な関係を維持しながら、これまで通り駆除活動を続けていく考えを示しています。