中島哲也監督『時には懺悔を』完全解説：西島秀俊×満島ひかり初共演で描く家族の絆【2025年6月公開】

時には懺悔をティザービジュアル

この子は生まれてこないほうが幸せでした。

この重い言葉から、映画『時には懺悔を』は始まります。

でも、これは決して暗い物語ではありません。

むしろ、命の価値を見つめ直す、希望に満ちた物語なのです。

2025年6月、『告白』『渇き。』『来る』で知られる中島哲也監督が、7年ぶりの新作を届けてくれます。

今回は、西島秀俊と満島ひかりという、実力派俳優の初共演も話題を呼んでいます。

なぜ今「時には懺悔を」なのか？20年越しの映画化の理由

中島哲也監督が打海文三の小説「時には懺悔を」と出会ったのは、約20年前のこと。

その時から「必ず映画化したい」という思いを抱き続けてきました。

でも、なぜ20年もの歳月がかかったのでしょうか？

それは、社会の価値観の変化を待つ必要があったからです。

中島監督はこの20年間に世の中の価値観が少しずつ変わり、こういう映画が人々に受け入れられる土壌がようやく整ったと語っています。

映画化への道のりは決して平坦ではありませんでした。

脚本を書き始めた当初は、なかなか賛同者が見つからなかったそうです。

しかし、障がい児関連の方々など、多くの人の協力を得て、ついに完成にこぎつけました。

このように、20年という時を経て実現した映画には、どんな物語が込められているのでしょうか？

原作は、重度の障がいを持つ子どもを通して描かれる、親子の絆の物語です。

「望まれなかった命」という重いテーマを扱いながら、その命が誰かの救いとなっていく過程を丁寧に描いています。

中島監督は見る人の気持ちを動かす映画ができるのではという思いを抱き続けてきました。

その思いは、15年の構想期間を経て、ついに形になろうとしています。

では、この物語を届けるために集まった豪華キャストたちは、どんな役を演じるのでしょうか？

主演の西島秀俊は、家族との不和を抱えながら生きる男・佐竹を演じます。

西島さんと中島監督のタッグは今回が初めて。

53歳という年齢を重ねた西島さんだからこそ表現できる、複雑な心境を持つ父親像が期待されています。

満島ひかり演じる聡子は、娘に捨てられた女性。

黒木華が演じる民恵は、産んだ子を愛せなかった女性として登場します。

宮藤官九郎演じる明野は、子を生きる糧にした男性。

それぞれが、現代社会が抱える家族の問題を体現しているのです。

このように、様々な立場の人々が登場する本作。では、中島監督は何を伝えようとしているのでしょうか？

かつてなく自分の気持ちが素直に出ていると語る中島監督。

これまでの作品で見せてきた独特の演出を抑え、より素直な表現を選んだと言います。

それは、伝えたいメッセージの重さゆえの選択だったのかもしれません。

監督は気取った演出などしている場合じゃなかったと率直に語っています。

では、この作品が私たちに投げかける問いとは、どんなものなのでしょうか？

本作は、「命の価値」という普遍的なテーマを扱いながら、現代の家族が抱える様々な問題にも光を当てています。

過剰に人を攻撃してしまう人、心に傷を負ったまま立ち上がれない人、自ら壁を作って閉じこもる人...。

そんな欠点だらけの大人たちが、ひとつの小さな命との出会いを通して、どう変わっていくのか。

2025年6月、私たちはきっと、新しい家族の形に出会うことになるでしょう。