、韓国南西部の務安空港で起きた旅客機事故。
バンコクから帰国途中だった181人の乗客乗員のうち、179人が命を落とすという大きな悲劇となりました。
一体なぜ、これほどの被害が出てしまったのでしょうか。
事故発生から現在までの経緯
事故機は韓国の格安航空会社チェジュ航空のボーイング737-800型機。
タイのバンコクから韓国・務安空港に向かう途中で起きた事故でした。
着陸時、機体は滑走路を越えて空港の外壁に激突。
その後炎上し、大きな被害につながりました。
この事故は、韓国で起きた航空機事故として過去最悪の人命被害となっています。
事故から時間が経つにつれ、さまざまな事実が明らかになってきています。
では、なぜこれほどの被害が出てしまったのでしょうか。
なぜこれほどの被害が出たのか
事故の被害を大きくした要因として、空港の構造的な問題が指摘されています。
特に注目されているのが、滑走路近くにある「計器着陸装置」という設備です。
この装置は、パイロットが安全に着陸できるよう支援する重要な設備ですが、滑走路から約200メートル離れた場所に設置されていました。
しかも、数メートルの高さがある土とコンクリートの盛り土の上に設置されていたのです。
韓国のメディアによると、専門家からは「このコンクリート製の『丘』がなければ、被害は少なかった可能性がある」という指摘も出ているそうです。
このように空港の構造的な問題が指摘される一方で、事故当時の状況からは、別の重要な事実も見えてきています。
明らかになった3つの重要な事実
現時点で明らかになっている重要な事実が3つあります。
- 着陸直前に「鳥との衝突」が報告されていたことです。
航空機が飛行中に鳥と衝突する事故は「バードストライク」と呼ばれ、機体に重大な影響を与える可能性があります。 - 着陸時に車輪が出ていなかったことです。
ただし、最初の着陸を試みた際には車輪が出ていたという目撃情報もあるとされています。 - 事故機のフライトレコーダー(通称:ブラックボックス)が回収されたものの、外側が損傷しており、分析に時間がかかる可能性があることです。
これらの事実を受けて、現在どのような調査が行われているのでしょうか。
事故原因の調査状況
事故の原因究明のため、韓国政府は米国の専門機関とボーイング社を含めた合同調査を開始しています。
また、同じ型の航空機(ボーイング737-800型)を使用している韓国の6つの航空会社、合計101機に対して、までの特別点検も実施されることが発表されました。
実際、この特別点検の重要性を示す出来事も起きています。
朝には、同型機で離着陸時の車輪に関する異常信号が出たため、金浦空港に引き返すという事案が発生しました。
このような調査が進められる一方で、遺族たちはどのような思いを抱えているのでしょうか。
遺族の声から見える課題
事故現場となった務安空港には、事故発生直後から数百人の遺族が集まっています。
しかし、遺体の確認作業に時間がかかっていることなどから、当局の対応に対する不満の声も上がっています。
ある遺族は「空港近くで鳥の活動が活発なことを航空会社は知らないのか。
自然が起こした事故ではなく、人災だ」と語気を強めて話したといいます。
韓国政府はまでを国をあげて犠牲者を悼む期間と定め、各地に追悼の場所が設けられています。
市民や知人たちが次々と訪れ、犠牲者への祈りを捧げている様子が報告されています。