「トラのおりの中で餌やり体験」「アザラシと一緒に宿泊」——
こんな企画を実施し、「日本一危険な動物園」として知られる札幌市の動物園が、ついに閉園することになりました。
札幌市は、市南区にある「ノースサファリサッポロ」の運営会社に対して、 除却命令(建物を取り壊す命令)を出す方針を固めました。
全国で初めての動物園への除却命令となります。
でも、なぜ今このタイミングなのでしょうか?
そして150種もの動物たちは、これからどうなるのでしょうか?
詳しく見ていきましょう。
そして150種もの動物たちは、これからどうなるのでしょうか?
詳しく見ていきましょう。
なぜ「日本一危険」と呼ばれる動物園なのか
この動物園が「日本一危険」と呼ばれるようになった理由は、以下の特徴的な体験プログラムにあります:
- トラのおりの中に入って餌やり体験
- アザラシと一緒に宿泊
- 危険な動物との距離の近い触れ合い
20年間の無許可営業はなぜ可能だったのか
実は、この動物園には大きな問題がありました。
園の敷地は市街化調整区域(建物を建てるのに特別な許可が必要な地域)にあったのです。
市はの時点で、無許可での建設工事を確認し、運営会社「サクセス観光」に許可を得るように指導していました。
しかし、同社はこの指導を無視して開園。その後も施設を拡張し続け、建物は150棟にまで増えていったのです。
しかし、同社はこの指導を無視して開園。その後も施設を拡張し続け、建物は150棟にまで増えていったのです。
「なぜ20年も放置されたの?」
実は、市は開業当初、第1種動物取扱業者(動物園を営むための資格)の届け出すら受理していませんでした。
しかし、「すでに動物が飼育・展示され、動物保護の観点から必要な措置だった」として、後から許可を与えることになったのです。
実は、市は開業当初、第1種動物取扱業者(動物園を営むための資格)の届け出すら受理していませんでした。
しかし、「すでに動物が飼育・展示され、動物保護の観点から必要な措置だった」として、後から許可を与えることになったのです。
SNSで話題になった「動物虐待」疑惜
頃、「アザラシと一緒に宿泊する」企画が、SNS上で大きな波紋を呼びました。
「動物に過度なストレスを与える虐待行為ではないか」との批判が相次ぎ、札幌市には500件以上もの苦情が寄せられました。
これを機に、オンライン上では園の営業停止を求める署名活動も展開され、環境省への対応要請も行われるようになりました。
これを機に、オンライン上では園の営業停止を求める署名活動も展開され、環境省への対応要請も行われるようになりました。
閉園後の150種の動物たちはどうなるのか
最も心配なのは、動物たちの今後です。
過去の事例を見ると、残念ながら楽観視はできません。
に秋田県で閉鎖されたクマ牧場では、移送先の決定を待つ間に20頭以上いたクマのうち2頭が衰弱死。
に千葉県銚子市の水族館が廃業した際には、イルカやペンギンが一時的に置き去りにされる事態となりました。
に千葉県銚子市の水族館が廃業した際には、イルカやペンギンが一時的に置き去りにされる事態となりました。
動物園の運営に詳しい金子正美・酪農学園大名誉教授によると、動物の譲渡先を探すのは運営会社の責任ですが、これには多くの困難が予想されるとのことです。