- 警視庁で起きた痛ましい自殺事案の全容
- なぜ警察組織でパワハラが続くのか
- 数字が語る警察組織の深刻な現状
- なぜパワハラと認定されなかったのか
- 警察組織の改革に向けた具体的な取り組み
- 悩む警察官とその家族への支援体制
- 組織改革と人命尊重の両立に向けて
、警視庁のある警察署で痛ましい出来事が起きた。
上司からの執拗な叱責を受けていた男性署員が自ら命を絶ったのだ。「そんなこともわからないのか」
「もう辞めた方がいい」
―。
日常的に投げかけられていた言葉の重みは、警察組織が長年抱えてきた深い闇を浮き彫りにした。
この事案は、警察組織における職場環境の問題と、パワーハラスメントの深刻さを改めて社会に突きつけることとなった。
警視庁で起きた痛ましい自殺事案の全容
東京都東部にある警視庁警察署で起きたこの事案。
男性署員はに赴任して以降、直属の上司から継続的な叱責を受けていたことが、警察関係者への取材で明らかになっている。
、東京都内の自宅で男性署員が死亡しているのを家族が発見。
自宅と職場からは、生前の職場での悩みを記した遺書やメモが見つかった。
警視庁は当日に状況を把握し、経緯を調査。
しかし、組織としての判断は、叱責を「職務上の指導の範囲内」
とし、パワハラ行為とは認定しなかった。
なぜ警察組織でパワハラが続くのか
警察組織は、階級を基本とした徹底した縦社会として知られている。
この組織構造が、時として過度な叱責や不適切な指導を生む温床となっているという指摘がある。
特に注目すべきは、
の名の下に行われる行き過ぎた言動だ。
「指導」
今回の事案でも、「そんなことも分からねえのか」
「こんなこともできないの」
といった発言が日常的に行われていたという。
この問題の深刻さを示す事例として、に起きた京都府警本部長による「殺すぞ」
発言事件がある。
この事案では、府警がパワハラ行為と認定し、警察庁が事実上の更迭人事を発令している。
数字が語る警察組織の深刻な現状
厚生労働省の統計によると、の警察官・海上保安官・看守・消防員等の自殺者数は76人に上る。
さらに深刻なのは、そのうち41人が職場に関係する動機によるものだったという事実だ。
過去の事例を見ても、には警視庁で「おまえらだめだ」
などと上司に責められた警察官が自殺し、パワハラが原因と認定されている。
には兵庫県警で先輩の叱責を苦にした自殺があり、遺族と県の民事訴訟はに和解に至っている。
なぜパワハラと認定されなかったのか
今回の事案で、警視庁はパワハラ認定を見送る一方で、署員が亡くなった結果を重く受け止め、直属の上司を指導する方針を示している。
当時の署長は8月、副署長は2月にそれぞれ定期異動しているが、組織としての対応は「職員に寄り添った対応が徹底されるよう、指導教養に一層取り組む」
というコメントに留まっている。
この判断について、ある現職警察官は
「今も厳しい言動を『指導』と認める人がいる」と指摘。「使命感を持って働く現場の人間が力を発揮できる組織であってほしい」と訴えている。
警察組織の改革に向けた具体的な取り組み
警察組織における職場環境の改善には、以下のような取り組みが求められている:
- パワハラ認定基準の明確化
- 相談体制の強化
- 管理職への研修強化
- 外部評価制度の導入
特に重要なのは、「指導」
と「パワハラ」
の線引きを明確にし、組織全体で共有することだ。