、クレヨンしんちゃんの世界と現実をつないでいた大切な場所が、その52年の歴史に幕を下ろしました。
イトーヨーカドー春日部店、別名「サトーココノカドー」として親しまれてきたこの場所。
アニメファンの聖地として、そして地域の暮らしを支える存在として、多くの人々の思い出が詰まったこの店舗の歴史と、これからについてお伝えします。
知られざる歴史|1972年から2024年までの軌跡
イトーヨーカドー春日部店は、に春日部市にオープンしました。
当時はまだクレヨンしんちゃんが生まれる20年も前のこと。
オープン当初から地域の買い物の中心として親しまれ、には現在の場所に移転しました。
地下1階から地上5階まで、食品売り場から衣料品、生活雑貨、文具まで、売り場面積は9420平方メートルという大規模な店舗。
春日部の街の顔として、半世紀以上にわたって地域の暮らしを支えてきました。
なぜサトーココノカドーに?アニメとの深い結びつき
クレヨンしんちゃんの作者である臼井儀人さんは春日部市出身。
作中に登場する「サトーココノカドー」のモデルとして、このイトーヨーカドー春日部店が選ばれたのは、作者自身の思い出の場所だったからかもしれません。
には期間限定で看板を実際に「サトーココノカドー」に変更するという驚きの企画も実施。
この取り組みは大きな話題を呼び、国内外から多くのファンが訪れるきっかけとなりました。
意外と知らない!アニメの聖地としての役割
2018年、店舗3階には埼玉県が「アニメだ!埼玉発信スタジオ」を設置。
ここには等身大のしんちゃんや妹のひまわりの像が展示され、写真撮影スポットとして人気を集めていました。
年間約3万人もの来場者があり、特に閉店が発表されてからは、韓国や中国などアジアからの観光客も多く訪れていたそうです。
まさに、アニメツーリズムの成功例と言えるでしょう。
閉店後はどうなる?春日部市の新たな取り組み
「アニメだ!埼玉発信スタジオ」に展示されていたしんちゃんたちの像は、春日部市が引き取り、市内の別の場所での展示を検討しているとのこと。
クレヨンしんちゃんファンの聖地は、形を変えて生まれ変わろうとしています。
最後の営業となった11月24日、閉店時間の午後7時まで多くの人々が訪れ、思い出の場所との別れを惜しみました。
店舗5階の掲示板には
「いつもあるのがあたり前だったので、さみしいです」「いままでありがとう」
といった温かいメッセージが、手書きのしんちゃんのイラストとともに数多く寄せられました。