山本太郎氏カタコト動画の波紋｜SNSでの政治的発信はどこまで許される？元ネタ・タイ人インフルエンサーの意外な反応も

「お前らよく聞け」

カタコトの日本語で始まる1分間の動画が、2024年の衆院選の最中に政界を揺るがしました。

れいわ新選組の山本太郎代表による選挙応援動画。タイ人インフルエンサーの人気動画をまねた試みが、予想外の展開を見せることになりました。

山本太郎選挙活動

山本太郎氏のカタコト動画が物議を醸した理由

衆院選期間中、れいわ新選組の公式YouTubeチャンネルに投稿された一本の動画が、SNSで大きな話題となりました。

動画の中で山本太郎代表は、たどたどしい日本語で大阪5区は大石あきこ、比例はれいわ。大石、あきこ、れいわ、セットにしなきゃ、大石、落ちると呼びかけています。

この動画は瞬く間にSNSで拡散され、様々な反応を呼びました。特に注目を集めたのは、音楽プロデューサーの近田春夫氏による指摘です。

近田氏はXで「これをヘッチャラで投稿出来るという山本太郎の感覚には失望しました」と投稿。さらに「この件に関しては、納得のいく釈明が欲しい」と続けました。

ここまでが動画投稿から最初の反応までの流れです。では、なぜこの動画は作られることになったのでしょうか？

実は、この動画には元になった人気コンテンツがありました。

タイに住む27歳のインフルエンサー「ナイン」さん。10年前に日本語を学んだ経験を活かし、独特な口調でタイの魅力を紹介する動画を配信しています。

その独特なお前らよく聞けという口調と、上から目線でタイを紹介するスタイルが人気を呼び、現在では22万人以上のフォロワーを抱える人気インフルエンサーとなっています。

興味深いのは、「ナイン」さん本人の反応です。この騒動についてたくさんの方が動画を見てまねをしてくれることはうれしいとコメント。さらに山本代表に対して政治家はたたかれやすい。悩んだらタイにおいでというメッセージも送っています。

ここまでが元ネタと、その本人の反応でした。では、なぜこの動画は批判を受けることになったのでしょうか？

この動画への批判は、主に以下の3つの観点から指摘されています：

これらの指摘を受け、大石晃子共同代表は公人がカタコトのマネをするのはまた違う文脈が生まれると認め、動画を削除。真摯に受け止めますとコメントしています。

このように、SNSでの政治的発信には様々な配慮が必要とされています。では、今後どのような点に気をつける必要があるのでしょうか？

この事例から見えてきた重要なポイントは、SNSでの政治的発信における「文脈の重要性」です。

同じ表現でも、一般のSNSユーザーと公人では受け止められ方が大きく異なります。特に選挙期間中の発信には、より慎重な配慮が必要とされます。

大石氏は流行っているから、おもしろいからという理由で動画を作成したと説明していますが、政治家の発言は常により広い文脈で解釈される可能性があります。

これは決して政治的発信の可能性を狭めるものではありません。むしろ、より効果的なコミュニケーションのために必要な視点と言えるでしょう。