- なぜ「中小企業のおやじ」は世界的企業を作り上げたのか
- スズキの躍進 軽自動車革命から始まった成長物語
- インド市場制覇 誰も見向きもしなかった市場で成功した理由
- 鈴木修流の経営哲学 失敗を恐れず、現場を大切にした経営者の素顔
- スズキの未来 受け継がれる経営理念と新たな挑戦
世界で戦えるのは、トヨタと日産だけだ
、日本の自動車業界でそう言われていた時代。
静岡県浜松市の小さな町工場から、ある経営者が世界への挑戦を始めました。
スズキ自動車の鈴木修氏。
、94歳で惜しまれつつ逝去した経営者の足跡をたどると、日本のものづくりの真髄が見えてきます。
なぜ「中小企業のおやじ」は世界的企業を作り上げたのか
私は中小企業のおやじです
そう語っていた鈴木修氏は、なぜスズキを世界的な自動車メーカーへと成長させることができたのでしょうか？
その答えは、現場を知り尽くした経営者だったことにあります。
に入社してから、製造現場、購買、営業と、あらゆる部門を経験。
31歳という若さで豊川工場の建設責任者を任され、予算内での完成を実現しました。
実は鈴木氏は、最初から順風満帆だったわけではありません。
アメリカでの事業に失敗し、2年間で10億円以上の赤字を出して帰国することも。
でも、その失敗が次の成功につながっていきました。
転んでもただでは起きない
この言葉が、鈴木氏の経営哲学を表しています。
失敗を恐れず、でも失敗したら必ず何かを得て立ち上がる。
その姿勢が、後の大きな成功を生むことになります。
では、具体的にどんな革新的な取り組みで、スズキは成長していったのでしょうか？
スズキの躍進 軽自動車革命から始まった成長物語
、自動車業界に衝撃が走ります。
スズキが発売した軽自動車「アルト」。
当時、軽自動車の平均価格が60万円前後だった時代に、なんと47万円という破格の価格で登場したのです。
しかも、画期的だったのは価格だけではありません。
「全国統一価格」という、今では当たり前の制度を、初めて導入したのです。
さらにには、今でも人気の「ワゴンR」を開発。
背の高い軽自動車という、新しい市場を作り出しました。
庶民の足を守る
この信念は、34年間にわたって軽自動車市場でシェア1位を維持することにつながりました。
でも鈴木氏の視線は、すでにもっと大きな市場に向けられていました。
その市場とは...？
インド市場制覇 誰も見向きもしなかった市場で成功した理由
、世界の自動車メーカーが見向きもしなかった市場がありました。
そう、インドです。
実は、スズキのインド進出は「補欠合格」だったって知っていましたか？
申請の締切りはすでに過ぎていたのに、頼み込んで補欠で認められたんです。
でも面白いのは、その後の取り組み方。
鈴木氏は、インドの工場で日本式の「現場主義」を徹底しました。
特に印象的なのが、階級意識の強いインドで、社長自らが社員食堂で従業員と一緒に食事をしたエピソード。
この行動が、現地従業員の心をつかんだと言われています。
その結果、今やスズキの世界販売の半分以上をインド市場が占めるまでに。
90歳を超えてからも、何度もインドに足を運んだそうです。
では、このような経営スタイルを貫いた鈴木氏の、経営者としての本質とは？
鈴木修流の経営哲学 失敗を恐れず、現場を大切にした経営者の素顔
良いものを安く
この信念は、最後まで譲ることはありませんでした。
面白いのは、大手メーカーとの提携の仕方です。
、当時世界最大だったGMと提携した時のエピソード。
GMがクジラなら、スズキは蚊。メダカなら飲み込まれても、蚊ならいざという時、空高く舞い上がって飛んでいける
この言葉に、鈴木氏らしさが表れています。
強さを求めすぎず、でも独立性は絶対に守る。
その姿勢が、後のトヨタとの提携にも活かされることになりました。
ここまで見てきた鈴木氏の経営哲学は、これからのスズキにどう受け継がれていくのでしょうか？
スズキの未来 受け継がれる経営理念と新たな挑戦
、94歳で逝去した鈴木修氏。
その遺志は、長男の俊宏氏に受け継がれています。
小･少･軽･短･美
これは、鈴木氏が確立した生産現場の基本方針です。
ムダを省き、効率的で高品質な生産を実現する。
この理念は、今もスズキのDNAとして生き続けています。
売上高3000億円台だった会社を、5兆円を超える企業に育て上げた鈴木修氏。
その背景には、失敗を恐れない挑戦精神と、現場を大切にする経営哲学がありました。
この生き方は、私たちに何を教えてくれているのでしょうか。
それは、たとえ小さな存在でも、諦めずに挑戦し続ければ、世界で戦えるようになるということかもしれません。
