「仲が良い」と思っていた生徒たちの関係が、実は深刻ないじめだった——。
最近、北海道の道立高校で明らかになった事案から、私たちが学ぶべき大切なことがあります。
いじめ事案の概要と教訓
、ある道立高校で起きた出来事。教職員たちは「仲の良い友人関係」だと思っていました。でも実際は、深刻ないじめが半年間も続いていたのです。
このケースで特に注目すべきなのは、教職員が一部の行為を目撃していたにも関わらず、適切な対応ができなかったという点です。
なぜ、いじめを見逃してしまったのでしょうか?
それは「仲が良い」という思い込みが、客観的な観察を妨げてしまったからかもしれません。教職員の「まさか」という思い込みが、早期発見の機会を逃してしまったのです。
いじめの早期発見:見落としやすいサイン
いじめのサインは、意外と身近なところに現れています。以下のような変化に気付いたら、要注意です:
1. 行動の変化
- 休み時間、一人でいることが増えた
- 部活動を休みがち
- 遅刻や早退が増えた
- 持ち物がなくなることがある
2. 表情や態度の変化
- 元気がない、投げやりな態度
- 急に大人しくなった
- 友達との会話が減った
- 特定の場所や時間を避ける
3. 身体的な変化
- 不自然な傷やあざがある
- 服が汚れている
- 体調不良を訴えることが増えた
教職員ができる具体的な対策
最も重要なのは、「気付いたらすぐに行動する」ということです。
1. 初期対応
- 変化に気付いたら、まず生徒と1対1で話す機会を作る
- 「最近、元気がないように見えるけど大丈夫?」など、やさしく声をかける
- 決して追い詰めるような質問はしない
2. 情報共有
- 気付いたことを必ず他の教職員と共有する
- 担任、学年主任、生徒指導担当など、複数の目で状況を確認
- 些細なことでも記録を残す
3. 組織的な対応
- いじめ対策委員会での検討
- 具体的な支援策の決定
- 保護者との連携
特に重要なのは「記録を残す」ということです。時系列で状況を把握することで、より適切な対応が可能になります。
保護者が取るべき行動と注意点
家庭でも、子どもの変化に敏感になることが大切です。
1. 日常的な観察
- 食事の様子
- 携帯電話の使い方
- 友達との関係
- 学校の話題への反応
2. コミュニケーションのコツ
- 「学校楽しい?」という漠然とした質問は避ける
- 具体的な出来事について質問する
- 否定的な反応をしない
- 話をさえぎらない
3. 学校との連携
- 気になることはすぐに学校に相談
- 定期的な情報交換
- 対応策の相談
このように、家庭での観察と対応も重要です。しかし、個々の対応だけでは十分ではありません。
いじめ防止のための体制づくり
効果的な体制づくりには、以下の3つの要素が重要です:
1. 定期的なアンケート
- 記名・無記名の併用
- オンラインでの実施
- 結果の迅速な分析と対応
2. 教職員の研修
- いじめの最新動向
- 効果的な観察方法
- 具体的な対応手順
3. 相談体制の整備
- 複数の相談窓口
- 匿名での相談機会
- 専門家との連携
相談窓口と支援制度
1. 学校内の相談窓口
- 担任の先生
- 養護教諭
- スクールカウンセラー
2. 外部の相談窓口
- 24時間子供SOSダイヤル
- いじめ相談ダイヤル
- 各都道府県の教育相談センター
3. オンライン相談
- SNSを活用した相談窓口
- メール相談
- チャット相談