- John Prescottとは？商船員から副首相となった異色の政治家
- なぜ"伝説的存在"と呼ばれる？労働者階級の代弁者としての功績
- 知られざる環境保護への貢献｜京都議定書誕生の立役者
- Two Jags、Two Jabs ～ニックネームに秘められた人間味
- 最期まで貫いた信念｜社会正義と環境保護の遺志を継ぐ人々
、イギリスの政界に大きな損失が訪れました。
Tony Blair政権で10年間副首相を務めたJohn Prescott氏が、86歳で永眠しました。
商船員からイギリス最長の副首相へ。
その異色の経歴は、多くの人々に希望を与え続けてきました。
「政治家は上流階級のものだ」
そんな固定観念を打ち破り、労働者階級の誇りを体現した政治家がいました。
卵を投げられれば反撃する。
高級車を2台所有することも堂々と認める。
そんな「普通の人」としての素顔を隠さなかったJohn Prescott氏の死は、イギリス政界に何を問いかけているのでしょうか？
John Prescottとは？商船員から副首相となった異色の政治家
Prescott氏は、労働者階級の家庭に生まれ、若くして商船員として働き始めました。
多くの政治家が名門校出身である中、彼は労働組合の活動を通じて政界入りを果たしました。
その後、40年にわたってイギリス北部の街・Hullの代表として議会で活動。
からはTony Blair政権で副首相として10年間、イギリスの政治を支えました。
なぜ"伝説的存在"と呼ばれる？労働者階級の代弁者としての功績
Prescott氏が特別な存在とされる理由は、決して自分の出自を隠さなかったことにあります。
上流階級出身者が多数を占める政界で、彼は常に労働者階級の代弁者であり続けました。
最も有名なエピソードが、の選挙中に起きた「卵投げ事件」です。
抗議する市民から卵を投げつけられた際、元アマチュアボクサーの彼は反撃のパンチを繰り出しました。
この出来事で「Two Jabs（ダブルパンチ）」というニックネームを得ましたが、意外にも市民からの支持は上がったと言われています。
また、2台のジャガー車を所有していたことから「Two Jags」とも呼ばれました。
裕福になることを恥じるのではなく、「労働者にも良いものを持つ権利がある」と堂々と主張する姿勢は、多くの人々の共感を呼びました。
知られざる環境保護への貢献｜京都議定書誕生の立役者
実は、Prescott氏には環境保護の先駆者としての一面もありました。
、当時のアメリカのAl Gore副大統領と共に、地球温暖化対策の国際的な枠組みである京都議定書の実現に尽力したのです。
さらに、社会住宅の改善にも力を注ぎ、150万戸もの住宅改修を実現。
「環境に優しい暮らし」と「快適な生活」の両立を目指した先見性は、現代の環境政策にも大きな影響を与えていると言われています。
Two Jags、Two Jabs ～ニックネームに秘められた人間味
政治家としての功績だけでなく、Prescott氏の人間味あふれるエピソードは数多く残されています。
卵投げ事件での「Two Jabs」、2台のジャガー車所有での「Two Jags」というニックネームは、彼の率直な性格を表しています。
Blair首相がJohn is John（ジョンはジョンだ）
と評したように、その独特な個性は政界でも一目置かれる存在でした。
