能登半島地震による災害関連死が235人に達し、2016年の熊本地震の222人を上回りました。
さらに特徴的なのは、建物倒壊などによる直接の被害(直接死:227人)よりも、避難生活による体調悪化などが原因の災害関連死の方が多くなっているという点です。
なぜこのような状況が起きているのでしょうか?また、私たちに何ができるのでしょうか?
能登半島地震の災害関連死とは?最新の状況
災害関連死というのは、地震や津波による直接の被害ではなく、避難生活の長期化やストレスによって体調を崩すなどして亡くなることを指します。
具体的には、避難所での生活による持病の悪化や、医療機関への通院が困難になることなどが原因とされています。
現在、能登半島地震による死者は合計462人。
このうち、建物の倒壊や津波による直接死が227人、災害関連死が235人となっています。
さらに、石川県内の自治体には約200人の遺族から新たな災害関連死の申請が出されており、今後さらに増える可能性があるといわれています。
なぜ災害関連死が直接死を上回ったのか?
能登半島地震で災害関連死が特に多くなっている背景には、いくつかの要因があるとされています。
1. 被災地の特徴
被災地には高齢者が多く住む過疎地域が多く含まれています。
これらの地域では、医療機関へのアクセスが困難になりやすく、避難生活による体調悪化のリスクが高まりやすい状況にありました。
2. 発生時期の影響
地震がに発生したことで、帰省中の人々も被災。
普段と異なる環境での避難生活を強いられることになりました。
また、冬季の避難所生活による体調管理の難しさも指摘されています。
3. 救助・支援活動の課題
過疎地域での被災は、道路の寸断などにより救助や支援物資の到着が遅れやすい状況を生み出しました。
実際、多くの集落が一時的に孤立し、必要な医療や支援を受けられない状況が続いたところもあったといわれています。
災害関連死を防ぐために|具体的な対策と支援
一方で、日本の災害対策は国際的に高い評価を受けています。
例えば、同じマグニチュード7.8クラスの地震が2023年に発生したシリアとトルコでは、約4万1000人もの方が亡くなっています。
日本の災害対策の特徴は、以下の2つのアプローチにあると指摘されています:
1. トップダウンの対策
- 早期警報システムの整備
- 建物の耐震化
- 救助隊員の訓練
- 避難所の整備
2. ボトムアップの対策
- 地域での防災訓練
- 住民への防災教育
- コミュニティでの助け合い
今後の見通しと課題|専門家の見解
現在も約200件の災害関連死の審査が pending状態にあり、今後さらに増える可能性が指摘されています。
特に、避難生活が長期化する中で、以下のような課題への対応が求められています:
1. 医療アクセスの確保
- 巡回診療の充実
- オンライン診療の活用
- 救急搬送体制の整備
2. 避難所環境の改善
- プライバシーの確保
- 冷暖房設備の整備
- 感染症対策
3. 心のケア
- 専門家による相談体制
- コミュニティの維持
- 運動不足解消の取り組み