「この映像は必要だったのか」
テレビの画面に映し出されたのは、炎に包まれた建物の中で動く人影でした。
、情報番組『ミヤネ屋』が放送したこの映像をきっかけに、災害報道の在り方を問う声が広がっています。
火災映像の放送で問われた報道の在り方
夜、東京都文京区の高級マンションで起きた火災。
自民党の猪口邦子参院議員の自宅から出火し、2名が亡くなるという痛ましい事故でした。
この火災を報じる中で、『ミヤネ屋』は「視聴者提供」として、ある映像を放送します。
燃え盛る炎の中、ベランダで人影が動く様子。
手にはペットボトルのようなものを持っていたと言われています。
放送された映像は、SNS上ですぐに大きな議論を呼びました。
亡くなった方の最期の姿である可能性も指摘され、「人命の尊さを無視している」という批判の声が相次いだのです。
このように、一本の映像が大きな波紋を広げることとなりました。
では、なぜこの映像は多くの人々から批判されることになったのでしょうか?
なぜ映像は批判を集めたのか
SNS上での反応を見ていくと、主に3つの観点から批判が集中していました:
- 人道的な配慮
亡くなった方の最期の姿かもしれない映像を、そのまま流してよいのか
- 報道の必要性
この映像に、どんな意味があったのか
- 遺族への影響
家族が見たら、どんな気持ちになるだろうか
特に注目すべきは、東日本大震災以降、日本のメディアが災害報道において、被害者や遺族への配慮を強く意識するようになっていた点です。
そんな中での今回の判断に、疑問の声が集まりました。
このような批判の声が広がる中、放送局側はどのような判断をしたのでしょうか?
放送局側の判断と対応
日本テレビは、この映像の放送について、火元が現職国会議員の自宅であり、住宅街にあるマンションでの大規模な火災で、全国的にも関心の高いニュースの重要な情報を含んだ映像と判断した
と説明しています。
一方で、配慮も見られました。
映像は昼から夕方までの報道番組でのみ使用され、ウェブサイトへの配信は行われなかったといいます。
また、映像を放送する際にはこれまでのところ、この人物が誰かや、何をしていたかなどはわかっていません
というテロップも付されました。
しかし、テレビ業界関係者からは放送前に注意喚起があってもよかった
という指摘も出ています。
では、東日本大震災以降、災害報道はどのように変化してきたのでしょうか?
東日本大震災以降の災害報道の変化
東日本大震災は、日本の災害報道の在り方を大きく変えたと言われています。
被災者や遺族のPTSDへの懸念から、生々しい映像の使用を控える傾向が強まりました。
特に以下のような点で、報道の仕方が変化したと指摘されています:
- 被害者の尊厳への配慮
- 遺族への心理的影響の考慮
- 視聴者への影響への配慮
このような変化は、「伝えるべきこと」と「配慮すべきこと」のバランスを、常に問い続けることにつながっています。
では、私たちはどのように考えればよいのでしょうか?