「申し訳ございません」
未明、韓国の国会前。
武装した若い戒厳軍の兵士が、抗議に集まった市民たちに深々と頭を下げました。
その姿は、この日の緊迫した状況の中で、思いがけない人間ドラマを生み出すことになりました。
なぜ韓国で非常戒厳が宣言されたのか
深夜、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は突如として非常戒厳を宣言しました。
非常戒厳とは、軍が一時的に国を管理する緊急事態のことです。その背景には、政府の機能が十分に働いていないという深刻な状況がありました。
大統領は行政や司法がまひしている
と訴えました。これは、政府の重要な仕事が思うように進まない状態になっているという意味です。
反対する人々からの強い批判を受け、政権は追い込まれた状態だったと言われています。
このような状況の中で取られた非常戒厳という選択。しかし、その後の展開は誰もが予想しなかったものでした。
では、その夜、韓国の国会で何が起きたのか、見ていきましょう。皆さんは、もし自分が現場にいたら、どう感じたでしょうか?
戒厳軍vs国会 - 緊迫の一夜に何が起きたのか
非常戒厳が宣言された直後、驚くべき光景が広がりました。
軍のヘリコプターが、わずか1時間半の間に24回も国会上空を飛び交いました。そして230人もの武装した戒厳軍が次々と国会に降り立ったのです。
さらに約50人の戒厳軍が塀を乗り越えて敷地内に入ったとされています。
戒厳軍は最初、国会議事堂の正面玄関と裏口から建物に入ろうとしました。しかし、それが阻まれると、ハンマーや小銃を使ってガラス窓を割って中に入ろうとする事態に発展しました。
この緊迫した状況の中、国会は深夜に緊急の会議を開きました。そして非常戒厳を解除するように
という決議を可決。これを受けて、戒厳軍は全員が撤退することになりました。
ここで意外な展開が待っていました。撤退する戒厳軍の中から、市民の心を揺さぶる出来事が起こったのです。
「申し訳ございません」戒厳軍の青年が市民に頭を下げた理由
国会前には、この異常事態に抗議する市民たちが集まっていました。
その中で、一人の若い戒厳軍の兵士が、突然立ち止まります。そして市民たちに向かって、深々と頭を下げたのです。
「申し訳ございません」
この言葉と共に、兵士は何度も頭を下げました。
現場にいた記者は、その様子をこう伝えています。
「眼鏡越しの澄んだ瞳に、私はすべての怒りが消え、痛ましさとありがたさを同時に感じました」
この出来事は、SNSで大きな反響を呼びました。
「軍人の言葉に胸が熱くなる」
「彼らは好きで戒厳軍になったのではない」
「この青年軍人は命令を受けて出動しながら、どれほど不安でつらかったことか」
この予想外の展開は、韓国の政治に大きな影響を与えることになります。その結果、翌朝、さらに驚くべきニュースが飛び込んできたのです。
大統領府幹部の一斉辞任 - これからの韓国はどうなるのか
朝、韓国の報道各社が一斉に報じました。大統領の秘書室長をはじめ、首席秘書官らが揃って辞意を表明したのです。
この一連の出来事は、韓国だけでなく、東アジア全体にも影響を与える可能性があると言われています。
専門家たちは、韓国の政治がこれからどう変わっていくのか、注目しています。
そして何より、一人の若い兵士の「申し訳ございません」という言葉は、多くの人々の心に深く刻まれることとなりました。