- 「おっ、マルガリータ!」で話題に!北の富士さんの解説が人気だった3つの理由
- 「鮭じゃないんだから」即興の面白例え話から見える才能
- 都々逸(どどいつ)で力士を評した?意外と知られていない文化人としての一面
- 放送席の裏側で見せた人間味あふれるエピソード
- まとめ:なぜ北の富士さんの解説が特別だったのか
「おっ、マルガリータ!」
、大相撲初場所の千秋楽。御嶽海の優勝が決まった瞬間、実況席からこんな声が上がりました。力士の母親の名前を即答したこの人物こそ、大相撲中継でお馴染みの北の富士さんです。
82年の人生を大相撲一筋に生きた北の富士さん。横綱として、親方として、そして解説者として、相撲界に大きな足跡を残しました。特に、NHK大相撲中継での解説は、多くの相撲ファンの心を掴んで離しませんでした。
では、なぜそんなにも多くの人に愛されたのでしょうか?
「おっ、マルガリータ!」で話題に!北の富士さんの解説が人気だった3つの理由
北の富士さんの解説が特別だった理由は、大きく3つあります。
1つ目は、ピンとくる面白い例え話です。
力士が相手の攻めに抵抗できないとき、「もっと抵抗しなきゃ。鮭じゃないんだから」。
この一言で、場の空気が和むんです。誰もが想像できる「川を上る鮭」と力士を重ねた例えは、相撲の技術を知らない人にも、すぐにピンときます。
2つ目は、力士への愛情です。
「みんな痛いところはあっても頑張って出ている。それを言っちゃー、おしまいよ」
怪我をして苦しむ力士に対して、このように語りかけました。ただ批判するのではなく、温かく見守る姿勢が、解説からにじみ出ていたんです。
3つ目は、その圧倒的な知識量です。
大相撲の技はもちろん、日本の伝統文化や着物の柄まで、話題は尽きることがありませんでした。
このように、北の富士さんの解説には、笑いと愛情と教養が詰まっていたんです。では、こんな素晴らしい解説はどこから生まれてきたのでしょうか?
「鮭じゃないんだから」即興の面白例え話から見える才能
北の富士さんの解説の特徴は、その場の空気を読んだ即興の面白さでした。
例えば、逸ノ城が優勝を決めた瞬間。「笑うかな~」とワクワクした様子で待ち構え、白い歯を見せる逸ノ城を見て「笑った!笑った!」と子供のように喜ぶ。そんな無邪気な反応が、視聴者の心を掴んでいました。
元NHKアナウンサーの刈屋富士雄さんは、「放送中にスッと出てくるネタが面白かった」と振り返ります。なんと、観客席に知り合いを見つけると、すぐにメモを取って解説に活かすこともあったそうです。
このように、常に周りをよく観察し、その場の空気を読んだ解説。それこそが北の富士さんの真骨頂でした。でも、実は解説の裏には、もっと深い教養が隠されていたんです。
都々逸(どどいつ)で力士を評した?意外と知られていない文化人としての一面
北の富士さんは、相撲だけでなく、日本の伝統文化にも詳しい方でした。
特に印象的なのが、力士を評価するときに使った都々逸(どどいつ)という歌です。例えば、力の衰えを見せ始めた横綱・白鵬を評して、こんな歌を口ずさみました。
「咲いた桜になぜ駒つなぐ 駒が勇めば花が散る」
これは、まだ強い力士がいないことを、桜と暴れ馬の関係に例えた粋な表現だったそうです。
また、女性の着物や帯の柄にも詳しく、放送中に「あの方の着物、素敵ですねぇ」と話を広げることも。そんな幅広い知識が、解説をより深いものにしていました。
ここまで見てきた北の富士さんの魅力。でも実は、放送席の裏側でも、その人柄は輝いていたんです。
放送席の裏側で見せた人間味あふれるエピソード
刈屋さんが明かす、こんな面白いエピソードがあります。
ある日、NHKの後輩アナウンサー・鈴木奈穂子さんが放送席の前から手を振っていました。すると北の富士さん、「どこの店の子?」とメモを寄越してきたそうです。刈屋さんが「渋谷(NHKの所在地)」と返すと、二人で笑い合ったとか。
こんな茶目っ気のある一面も、多くの人に愛された理由かもしれませんね。