毎年、京都・清水寺で行われる特別な儀式があります。
大きな和紙に一文字の漢字が書かれる瞬間、会場は静寂に包まれます。
その一文字に、私たちの1年間の出来事や思いが詰まっているのです。
「今年の漢字」は、その年の世相を一文字で表す日本の伝統行事として定着し、2024年で30周年を迎えました。
なぜこの行事は始まり、どのように選ばれているのでしょうか?
今年の漢字とは?30年の歴史を振り返る
に始まったこの取り組み。
阪神・淡路大震災があった年に、当時の世相を「震」という漢字で表したのが最初でした。
それ以来、毎年12月12日の「漢字の日」に、その年を象徴する漢字が発表されています。
選ばれる漢字は、実は私たち一般の人々の投票で決まります。
日本漢字能力検定協会が全国から応募を募り、最も多く票を集めた漢字が選ばれるんです。
2023年は「税」が選ばれました。
増税や税制改革など、税に関する話題が多かった年だったからですね。
このように、一つの漢字には、その年の様々な出来事や人々の思いが込められています。
では、なぜ清水寺で発表されるのでしょうか?
知られざる舞台裏:清水寺での発表の意味
実は、清水寺での発表には面白い舞台裏があるんです。
清水寺の貫主さんは、発表の瞬間まで選ばれた漢字を知らないんです!
当日の朝、封筒に入れられた漢字を受け取り、本番で初めて見るという緊張感があるんです。
使われる和紙も特別なものです。
からは、京都伝統工芸大学校の学生さんたちが手作りした黒谷和紙を使用しています。
縦1.5メートル、横1.3メートルという大きな和紙に、一文字の漢字が力強く書かれるんです。
歴代の漢字から見る日本の30年
これまでの「今年の漢字」を見ると、その時々の世相がよく分かります。
最も多く選ばれた漢字は「金」で、4回も選ばれています。
オリンピックでの金メダルや、経済に関する話題が多かった年に選ばれました。
面白いのは、同じ漢字でも、選ばれた理由が年によって全然違うんです。
例えば「税」は2014年と2023年に選ばれていますが、背景となる出来事は異なります。
このように、「今年の漢字」は、単なる一文字ではなく、その年の日本の姿を映し出す鏡のような役割を果たしています。
私たちの記憶や感情を、一つの漢字に込めることで、その年を象徴的に振り返ることができるんです。
みなさんは、今年はどんな漢字が選ばれると思いますか?
自分の周りで起きた出来事や、印象に残ったニュースを思い返しながら、予想してみるのも面白いかもしれませんね。