「忍者ハットリくん」のハットリカンゾウ、「新オバケのQ太郎」のQ太郎――。
私たちの心に残る懐かしいアニメキャラクターたちの声を担当してきた声優・堀絢子さんが、、89歳で永眠されました。
最期まで台本を手に役者であり続けた堀さん。
その89年の人生には、知る人ぞ知る、もうひとつの顔がありました。
声優として子どもたちに笑顔を届けながら、反核活動家として平和への思いを伝え続けた、その波乱の人生をたどってみましょう。
堀絢子さんとは?89年の人生と代表作
多くの人にとって、堀絢子さんと言えば「忍者ハットリくん」のハットリカンゾウの声でしょう。
でも、実は私たちの知らないところで、もっともっとたくさんの人気キャラクターを演じていたんです。
「トムとジェリー」のジェリー役、「ムーミン」のミイ役、そして「ハピネスチャージプリキュア!」の三ツ谷のぶこ役まで。
堀さんの声は、世代を超えて多くの人の心に残っています。
海外作品の吹き替えでも活躍していて、『アーノルド坊やは人気者』のアーノルド役や、『アニーよ銃をとれ』のアニー役なども務めていました。
こうして見てみると、堀さんって本当にいろんなキャラクターを演じてきたんですよね。
明るく元気な少年から、個性的なキャラクターまで、その演技の幅の広さには驚かされます。
なぜ反核活動を?声優としての成功と平和への思い
でも、堀さんの人生を大きく変えたのは、実は声優になる前の出来事でした。
堀さんのお父さんが広島で被爆して亡くなられたんです。
その体験は、堀さんの心に深く刻まれました。
お母さんから聞かされた被爆体験をもとに、原爆を題材にした芝居をしたいという思いを持ち続けていたそうです。
そんな堀さんの転機となったのが、との出会いでした。
作家・山本真理子さんの原作「広島の母たち」に出会い、翌年から反核一人芝居「朝ちゃん」の上演を始めたのです。
声優として大成功を収めながら、なぜ反核活動を始めたのか。
それは、お父さんとお母さんの体験を通じて、平和の大切さを強く感じていたからだと言われています。
知られざる堀絢子さん|最期まで貫いた役者の矜持
そんな堀さんの最期は、まさに役者らしいものでした。
声優の山田栄子さんがSNSで明かしたところによると、堀さんは22日に予定されていた本番を前に、ソファーで台本を見ながら、大好きなお酒を横に置いて永眠されたそうです。
89歳という高齢でありながら、最期まで役者としての矜持を持ち続けた堀さん。
その生き様は、多くの後輩声優たちの心に深く刻まれることでしょう。