アナと雪の女王の隠された伏線
〜ハンス王子の真実〜
「急すぎる展開」「納得いかない」――『アナと雪の女王』のハンス王子が実は悪役だったという展開について、こんな声をよく耳にします。
でも、実は作品の中には緻密な伏線が隠されていたんです。
今回は、ハンス王子の描写に隠された意味と、そこから見えてくる物語の本当のテーマについて、わかりやすく解説していきます。
ハンス王子の初登場シーンに隠された重要な意味
ハンス王子が初めて登場するシーン、覚えていますか?アナと馬が出会うシーンには、実は重要な伏線が隠されていました。
馬に乗っていたハンスは、アナにぶつかってしまい、彼女を小舟に落としてしまいます。
この時、ハンスの馬は主人の「礼儀正しい」行動をそのまま真似ていきます。
これは一見、かわいらしい演出に見えますが、実はハンス王子の本質を表現していたんです。
相手の気持ちを映し出す「鏡」のように、周りの人の行動を表面的にまねているだけ——それがハンス王子の正体だったのです。
このように、初登場シーンから、ハンスの「表面的な振る舞い」という特徴が巧妙に描かれていました。
では、他にどんな伏線があったのでしょうか?
3つの重要な伏線シーン
- 「とびら開けて」での会話
ハンスはアナの好みに合わせて「サンドイッチが好き」と答えています。
相手の気持ちを読んで、それに合わせる性質が見えます。 - ウェーゼルトン公爵との対立
公爵が攻撃的な態度を取ると、ハンスもまた攻撃的な態度で返します。
これも「鏡」のような性質の表れです。 - アナとの出会いでの態度
出会ってすぐの結婚を提案するハンス。
この「性急さ」は、後の展開の伏線でした。
このように見ていくと、ハンスの行動には一貫した特徴があったことがわかります。
では、なぜこのような描写方法が選ばれたのでしょうか?
監督が語る「鏡」としてのハンス王子
監督のジェニファー・リーは、ハンス王子について興味深い発言をしています。
「ハンスは魅力的だけれど空虚で、『鏡』として描いている」というのです。
この「鏡」という設定には、実は原作との深いつながりがありました。
アンデルセンの『雪の女王』では、「悪魔の鏡」が重要な役割を果たします。
その鏡の破片が心臓に刺さることで、人の性格が歪んでしまうのです。
ディズニー版では、その「鏡」のモチーフをハンス王子というキャラクターとして描き直したというわけです。
エルサとアナの関係から見える本当のテーマ
実は、ハンス王子の「鏡」としての性質は、エルサとアナの関係性を際立たせる役割も果たしています。
エルサは自分の力を恐れ、感情を抑え込もうとしました。
一方アナは、ありのままの姿を受け入れることの大切さを教えてくれます。
このコントラストをより鮮明にするために、ハンス王子は「表面的な愛」を体現するキャラクターとして描かれたのです。