「明日、俺がUFCのチャンピオンになる。俺がフライ級を変える」
アメリカ・ラスベガスの計量会場で、朝倉海は通訳不在にもかかわらず、そう堂々と宣言しました。その場の空気を一瞬で変えた彼の言葉に、世界中の格闘技ファンが熱い視線を送っています。
、朝倉海(31歳)が、日本人として、そしてアジア人として初めてのUFC王座獲得に挑戦します。しかも驚くべきことに、これは彼のUFCデビュー戦。なぜ、そしてどのようにしてこのような異例の挑戦が実現したのでしょうか?
なぜ朝倉海は初参戦でいきなりタイトルマッチ?
UFCは世界最高峰の総合格闘技団体として知られています。通常、新人選手が加入してすぐにタイトルマッチに挑戦することはほとんどありません。しかし、朝倉海の場合は特別でした。
その理由は主に二つあります。一つは、彼が挑戦するフライ級(体重56.7kg以下)という階級が、比較的選手層の薄い階級であること。そしてもう一つは、朝倉海への期待度の高さです。
特に注目すべきは、朝倉が体重を順調に落とし、計量では56.47kgとピタリとパスしたこと。そして驚くべきことに、計量から1時間後には5kgもの体重を戻すことができたと報告しています。これは彼の身体管理能力の高さを示しています。
勝算はどのくらい?前田日明が語る朝倉海の進化
格闘技界のレジェンド・前田日明氏は、朝倉海の状態について全然心配してない
と太鼓判を押しています。
前田氏によると、朝倉の能力はとんでもなくなっている
とのこと。特に注目すべきは、最新のトレーニング環境です。朝倉は特殊な機械を使用したトレーニングを週5回も行っており、そのマシンの効果は絶大だといいます。
「この機械はアメリカ人に見せちゃダメだ。みんな使いたがる」
と、レスリングコーチが言うほどの最先端設備を使用しているのです。
ただし、前田氏は唯一の不安材料として右拳の古傷を挙げています。今心配なのは、1にも2にも3にも4にも5にも手。手の骨折だけ
と指摘しています。
24年前、同じ挑戦をした日本人がいた
、宇野薫選手がUFC初参戦でタイトルマッチに挑戦しました。当時21歳だった宇野選手は、ジェンス・パルヴァーとの一戦で惜しくも判定負け。しかし、その後もUFCで活躍を続け、BJ・ペンとの王座決定戦では引き分けに持ち込むなど、日本人選手として最もUFC王座に近づいた選手となりました。
これまでUFCでタイトルマッチまで辿り着いた日本人選手はわずか6人。しかも、ZUFFA体制以降は4人のみで、王座獲得者は未だ0という厳しい現実があります。
前回、日本人ファイターがUFCタイトルに挑戦したのは、堀口恭司選手。それからすでに9年半が経過しています。朝倉海は、この長い歴史の中で新たな一歩を踏み出そうとしているのです。