- 写真1枚が招いた悲劇—事件はどのように起きたのか
- "筆舌に尽くしがたい恐怖の上で殺害"—小西被告への判決
- 加害者たちはどんな人物だったのか
- SNSトラブルから身を守るために—あなたにできること
- 事件から学ぶべきこと—SNSと命の重さ
2024年4月、北海道旭川市で17歳の女子高生が橋から転落させられ命を落とした事件。SNSでのちょっとしたトラブルがきっかけで起きたこの事件の真相と、私たちができる対策について解説します。
写真1枚が招いた悲劇—事件はどのように起きたのか
2024年4月、北海道旭川市で起きたこの事件。きっかけは信じられないほど些細なことでした。 被害者の女子高生が、内田被告のラーメン写真をSNSに無断で転載したこと。みなさんも、友達の投稿をシェアしたり保存したりすることがあるかもしれませんよね。でも、この何気ない行為が取り返しのつかない出来事につながってしまったのです。
内田梨瑚被告(22)は、自分の写真が無断転載されたことを知ると、SNSの通話機能を使って被害者に連絡。面識のなかった相手に対して威圧的な態度で言いがかりをつけました。怖くなった被害者は、電子マネーで10万円を支払うと申し出たものの、送金できず、内田被告に呼び出されてしまいました。
⚠ 「写真を勝手に使われただけで、なぜそこまで?」と思いますよね。内田被告は「言葉遣いが気に入らなかった」「失礼な態度を取られた」と供述していますが、これが17歳の命を奪うことになるなんて、あまりにも理不尽です。
"助けて"の声が届かなかった—コンビニでの悲劇
2024年4月18日夜、内田被告は知人の小西優花被告(当時19歳)と共に、被害者を車に乗せて監禁していました。 連れ回しながら暴行を加え、恐怖を与える行動をとっていたのです。
悲しいことに、被害者には助かるチャンスが一度ありました。加害者らがコンビニに寄った隙に、被害者は降車して大声を出しながら逃げようとしたのです。コンビニの中で助けを求めたとも言われています。
内田被告らは「この子はおかしくなっているので、取り合わなくていい」などと周囲に言って誤魔化し、被害者に暴行を加えて再び車内に連れ戻してしまいました。もし、このときコンビニにいた誰かが異変に気づいて声をかけていたら…。この「もしも」が、本当に胸に刺さります。
橋の上での出来事—事件の詳細
翌19日未明、内田被告と小西被告は被害者を旭川市の神居古潭にある神居大橋に連れて行きました。 そこで二人は、被害者を全裸にさせた上、土下座させたり、欄干に座らせたりする様子を動画で撮影。「落ちろ」「死ねや」などと言って川に突き落とし、殺害しました。
✓ 加害者たちは証拠隠滅のため、被害者の衣類を別の場所に遺棄。被害者の遺体は約1カ月後の5月21日、橋から約60km下流の川岸で発見されました。
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"筆舌に尽くしがたい恐怖の上で殺害"—小西被告への判決
2025年3月7日、旭川地裁の裁判員裁判で小西被告に対する判決が下されました。 小笠原義泰裁判長は、懲役23年の実刑判決を言い渡しました。
裁判長は判決理由をこう述べています。
「被告には生命や人格の尊重が見られず、犯行態様は残酷で極めて悪質」
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「被害者は長時間監禁され、橋に連れていかれ、筆舌に尽くしがたい恐怖の上で殺害された」
「被告は被害者を監禁中、コンビニで助けを求めた被害者を自ら引きずり出し、その様子が防犯カメラに写り捕まるかもと思って激怒し、感情の赴くまま犯行に及んだ」
検察側は「犯行は極めて残虐かつ悪質で、責任は内田被告と大きく異なるものではない」として懲役25年を求刑していました。一方で弁護側は「立場は従属的で更生可能性も高い」として懲役15年が妥当と主張。裁判所は「被告の役割は内田被告に比較すればやや小さい」としながらも、懲役23年という重い刑を言い渡しました。
ちなみに内田被告の裁判はまだ続いています。事件の主導的立場とされる内田被告には、さらに重い刑が求刑される可能性があります。
北海道初の"特定少年"裁判—名前が公表された理由
小西被告の実名が報道されているのには理由があります。 2022年の改正少年法により、18歳と19歳の特定少年(18・19歳の少年犯罪者)が起訴された場合、大人と同じように氏名などが公表されることになりました。
少年法は本来、成長途上にある若者の更生を助けるために実名報道を制限していますが、18歳から選挙権が認められるようになったことなどを踏まえ、一定の責任を負うべきという考えから法改正が行われたのです。
▶ 小西被告(当時19歳)の裁判は、北海道で初めて特定少年の実名が公表された事例となりました。
遺族の思い—"17歳の娘が失った一生"
判決後、被害者の遺族は次のようなコメントを発表しています。
「検察官の懲役25年という求刑も、裁判所の懲役23年という判決も、法律の範囲内で私たち被害者遺族の気持ちを汲んでくれたということは理解しているものの、17歳の娘が失った一生を考えると、23年でも軽いという思いです」
「今でも被告人を許すことはできませんが、娘が川に落ちるまでの被告人の供述は、自らの保身だけでなく、本当のことを言っているように感じ、そのことによって、娘の最後を知ることができました」
「被告人には、自ら行ったことに真摯に向き合い、反省してもらいたいです」
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法律の上での「重い刑」でも、失われた命や可能性を考えれば軽く感じてしまう—そんな遺族の深い悲しみと無念が伝わってきます。
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加害者たちはどんな人物だったのか
内田被告の素顔—中高時代からの問題行動
内田被告は旭川市に生まれ、地元の中学を卒業後、美瑛町の公立高校に進学しました。 高校では問題行動が顕著になり、タバコや飲酒、薬物使用などが報告されています。同級生によると、これらの行為をSNSに投稿していたとも。
周囲からは「性欲モンスター」と呼ばれるほど異常な性的言動があったといいます。高校生活が進むにつれて、こうした行動や言動により同級生たちとの距離が開き、クラスメートに相手にされなくなっていったようです。
高校卒業後は化粧品メーカーの子会社や水商売などの職を転々としながら、TikTokに加工した自撮り動画を頻繁にアップしていました。
"舎弟"小西被告との関係—支配と従属
小西被告は、内田被告が「舎弟」と呼んで可愛がっていた一歳年下の若者です。 内田被告と一つ隣の学区の中学出身で、幼い頃から加虐心を抑えられない面があったと報告されています。
小学生のときには同級生に濡れた雑巾を投げつけたりするいじめ行為があり、中学に入ってからも孤立。高校は1年ほどで中退したと言われています。
その後、内田被告のSNSに小西被告が頻繁に登場するようになり、二人の関係が深まっていきました。小西被告が職場を解雇された際には、内田被告が複数人のグループで押しかけて「謝罪してほしい」と因縁をつけたとも。
二人の関係は、支配と従属の歪な師弟関係だったのかもしれません。しかしそれにしても、なぜ他人の命を奪うという最悪の選択に至ったのか—その心理は簡単には理解できません。
SNSトラブルから身を守るために—あなたにできること
この痛ましい事件から、私たちは何を学び、どう身を守れるのでしょうか。 SNSが日常の一部となった今、トラブルを未然に防ぐ知識が必要です。
危険信号を見逃さないために
SNSでの見知らぬ人からの接触には警戒しましょう。 特に急に強い口調で連絡してきたり、あなたの個人情報を知っていたりする場合は注意が必要です。
⚠ 金銭要求や脅迫的な言葉は最大の危険信号です。「会わないと困ることになる」「金を払わないと〇〇する」などの言葉には絶対に応じないでください。
そして何より大切なのは、トラブルの初期段階で適切に対処すること。「自分で何とかできる」と思わず、早めに信頼できる大人に相談しましょう。
トラブルに巻き込まれたらどうする?
- 証拠を確保する:会話のスクリーンショットや、相手のアカウント情報などを記録しておく
- 一人で対応しない:必ず信頼できる大人(親、教師、スクールカウンセラーなど)に相談する
- 警察に相談する:状況によっては警察相談専用電話「#9110」も活用できる
- 学校関係者に報告する:学校関連の問題なら担任や生徒指導の先生、スクールカウンセラーに報告
自分一人で抱え込まないことが最も大切です。どんなに小さなトラブルでも、早めの相談が大きな悲劇を防ぐことにつながります。
助けを求める・助ける—みんなにできること
もし危険な状況に陥ったら、はっきりと「助けてください」と伝えましょう。 周囲の人に対して「警察を呼んでください」「この人に連れていかれそうです」など、具体的な状況を説明すると効果的です。
📣 一人に助けを求めるより、複数の人に声をかける方が効果的な場合があります。
🏪 店員がいる場所(コンビニ、ファストフード店など)に逃げ込むのも一つの方法です。
逆に、誰かが困っていると感じたら、勇気を出して声をかけてみましょう。「大丈夫ですか?」「何かお手伝いしましょうか?」という一言が、誰かの命を救うかもしれません。見て見ぬふりをせず、おかしいと思ったら警察(110番)に通報することも大切です。
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Q1: 旭川女子高生殺人事件の判決はどうなりましたか?
A1: 小西優花被告(当時19歳)に懲役23年の実刑判決が言い渡されました。内田梨瑚被告(22)の裁判はまだ継続中です。
Q2: 事件のきっかけは何だったのですか?
A2: 被害者が内田被告のラーメン写真を無断転載したことがきっかけでした。内田被告はSNSで威圧的に連絡し、被害者は10万円を支払うと申し出ましたが送金できず、呼び出されて監禁されました。
Q3: SNSトラブルに巻き込まれたらどうすればいいですか?
A3: 一人で対応せず、信頼できる大人や警察に相談し、証拠を残しましょう。金銭要求や脅迫的な言葉には応じず、早めに対処することが重要です。
事件から学ぶべきこと—SNSと命の重さ
この痛ましい事件を通して、私たちは多くのことを考えさせられます。
SNSでの何気ないやりとりが、時に取り返しのつかない事態につながる可能性があること。困っている人を見かけたとき、「誰かが助けるだろう」と思わず、自分ができることをする大切さ。そして何より、一人の命の重さと尊さ。
あなた自身や大切な人を守るために、SNSでのトラブルには早めに対処し、一人で抱え込まず相談することを忘れないでください。また、困っている人を見かけたら、できる範囲で手を差し伸べる勇気を持ちましょう。
小さな勇気と思いやりが、誰かの命を救う—そんな社会になることを願っています。
参考資料:
- 公開された裁判記録
- 各社報道記事(2024年4月〜2025年3月)
※本記事は上記の公開情報をもとに事実を整理したものです
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