- 阿川佐和子と自然との関わり|"虫めづる姫"から作家までの軌跡
- なぜ現代人は虫を怖がるのか?都会での自然体験の変化
- バルコニーガーデニングから始める自然観察|アゲハチョウとの出会い
- 次世代に伝えたい都会での自然との付き合い方
「なんじゃ、これ?」――バルコニーのレモンの木に突然現れた9匹の黒い"お客様"に、作家の阿川佐和子さんはそうつぶやきました。
その正体は、アゲハチョウの幼虫。
この何気ない発見から始まる物語は、都会に暮らす私たちと自然との関わり方について、深い示唆を与えてくれます。
阿川佐和子と自然との関わり|"虫めづる姫"から作家までの軌跡
子供の頃、阿川佐和子さんは「虫めづる姫」と呼ばれていたそうです。
カマキリを捕まえて家に持ち帰ったり、蓑虫の蓑を覗いてみたり、団子虫を手のひらで転がして遊んだり。
そんな自然との触れ合いが、日常の一部だったんですね。
この経験は、後の阿川さんの作家活動にも大きな影響を与えているようです。
自然をよく観察する目、生き物への優しいまなざし。
それは『婦人公論』連載のエッセイ「見上げれば三日月」にも色濃く表れています。
なぜ現代人は虫を怖がるのか?都会での自然体験の変化
阿川さんが最近経験したエピソードが、現代社会の興味深い一面を映し出しています。
アゲハチョウの幼虫の里親を探そうと、テレビ局のスタッフたちに声をかけてみたところ、
「要りません」「丁重にお断りします」
と、みごとに全員から断られてしまったそうです。
かつては当たり前だった虫との触れ合い。
それが今では、多くの人にとって縁遠いものになっています。
専門家によると、都市化による自然環境の減少に加え、空調の発達で室内で過ごす時間が増えたことも、その一因だと言われています。
バルコニーガーデニングから始める自然観察|アゲハチョウとの出会い
でも、都会暮らしだからこそできる自然との付き合い方があります。
阿川さんのバルコニーでの発見は、その可能性を教えてくれています。
実は、ナミアゲハと呼ばれるアゲハチョウは、レモンやみかんなどの柑橘類を好んで産卵することが知られています。
都会のベランダでちょっとした植物を育てるだけで、思いがけない自然との出会いが待っているかもしれないんです。
アゲハチョウの幼虫は、最初は鳥の糞のような黒い姿をしていますが、成長すると鮮やかな緑色に変身します。
白や黒の模様が入った体は、まるで芸術作品のよう。
そんな変化を観察できるのも、バルコニーガーデニングの醍醐味と言えるでしょう。
次世代に伝えたい都会での自然との付き合い方
「虫と接する機会がないから怖がる。
それはしかたのないことだ」
と阿川さんは理解を示しつつも、最後の一匹となった幼虫を、みかんの木のある場所まで運んで放してあげました。
その優しさの根底には、子供時代の豊かな自然体験があったのかもしれません。
現代の都会生活でも、工夫次第で自然との触れ合いは可能です。
たとえば:
- ベランダで季節の植物を育てる
- 週末の公園散策で虫や鳥を観察する
- プランターで野菜や果物を栽培する
これらの小さな試みが、次世代の子どもたちに新しい発見と感動を与えるきっかけになるかもしれません。